第7章 勘違い
写真を見る限りなんとなく、素直にお互いの好意を曝け出すような恋人同士ではなさそうな雰囲気だ。
二人だけで映っている写真になると尚の事、喧嘩腰で言い合っている様子がうかがえるものがほとんどだ。
以前このアルバムを見せてもらいながら話を聞いていた時も思ったが、喧嘩するほどなんとやらという関係なのだろう。
言い合っている写真であろうと二人の距離はとても近い。
「・・・・・・ダミーって・・・・・・どういう事ですか・・・?」
「引き立て役みてえなもんだ。見合いってのは必要なメンツを集めるための口実にすぎねえ」
「・・・・・・つまり?」
「今回のコレは二人の仲をペトラの両親に報告させるためにやる事でな。オルオの奴もビビってねえでそろそろ腹決める頃だがまあ・・・色々ある。
あいつら二人してグダグダしてやがるからこういう面倒な事になるんだ」
ベッドに腰掛けたまま足を開げて組み、先生は呆れたようにそんな事を言うがその目は大分優しげだ。
言葉の少ない先生の話をまとめようとしても上手くいかず、なかなか理解できそうにもないがどうやらこの人に見合いの意思がない事は事実のようだ。
アルバムから目を離してチラッと隣の様子を窺うと、それに気づいた先生は腕を伸ばしてガシガシと私の頭を掻き乱した。