第7章 勘違い
というのも。
「この・・・ペトラさんて人・・・・・・確かこっちの人と付き合ってて結婚も目前だって・・・・・・」
「そうだ。その話は覚えていたか。トリ頭のガキに二度目の説明をする手間が省けたな」
「・・・・・・」
いちいちムカつく。
見合い写真を見てペトラさんを思い出さなかった事がそんなに気に食わなかったのか。
アルバムにキッチリと整理して貼られた写真の中の、例えばこの一枚。
そこには先生とペトラさんと、その他に三人の男性が写っている。
ペトラさんの隣にいる男性はオルオさんと言うそうだ。
写真を懐かしく眺めながら、この二人はいつか家族になるだろうなと、先生が言葉少なに呟いていたのを良く覚えている。
昔から人相最悪な先生を取り囲み、写真の中のこの人達はどの写真も楽しそうだ。
慕われているのがここからは見て取れて、ペトラさんとオルオさんの事を口にした先生の目もまた穏やかな優しいものだった。
言葉は少ないし愛想もないけど、きっと先生は来たるべき二人の未来を自分の事のように喜んでいる。