第7章 勘違い
「この人・・・・・・」
「前にも見せたろ。ニワトリだってお前よりは記憶力まともだと思うがな。食いついてこのアルバム見てたくせに、なぜ見合い写真のこいつを見て思い出さない」
「・・・・・・ペトラ・・・さん・・・・・・?」
さらっと愚弄を受けたが私の頭はそれどころではない。
見合い写真に写る女性を見た時、一瞬見覚えがあると思ったけれどそれは間違いではなかった。
あれはいつだったか。
先生の家にアルバムがあるのを発見して、しげしげと眺めていたら見せてくれた事があった。
先生とアルバムと言うものがどうにもマッチしなくて、こんな鉄面皮がどんな顔をして思い出に浸るのかと思いつつページを捲ったのはそう前の事ではなかったと思う。
そこにあるのはほとんどが先生の大学時代以降からの写真だ。
映っている顔ぶれの多くは大学の友人や後輩だと言う人達。
そして親しげな四人の後輩のうちの一人、明るい笑顔が特徴的なのがこのペトラさん。
こちらの見合い写真に写っている女性、その人だった。
化粧の仕方やら髪形やら、あとはどう見ても浮かない笑顔が記憶に残る印象と差がありすぎてすぐには思い出せなかった。
けれど見開いたページで見比べてみれば確かにこの二人は同一人物で、なんで先生の後輩が見合い相手になっているのか私にはさっぱり分からない。