第7章 勘違い
「・・・・・・ったく。涼しい顔してお前、めちゃくちゃ気になってんじゃねえか。分かりづれえよバカが。
急に癇癪起こしやがって。うっかり修羅場突入なんて心臓に悪いだろうが」
「・・・・・・フェ、イ・・・・・・え?」
「確かに見合いの場は設ける。そこに俺も行く。だが俺の役目は言ってみりゃただのダミーだ」
「・・・・・・はい?」
「お前、面白い顔になってるぞ」
先生は掴みかかったままの私の手をやんわりと放させて、曲げていた姿勢を真っ直ぐに正した。
自ずと少し目線の位置が上がるから、ポカンとしながら先生の顔を見上げる。
しかしそれにはお構いなしで先生は一人すたすたと部屋を出て行き、追いかける気力なんてあるはずもない私はしばし呆然とベッドの上に座ります込んでいた。
そうしてしばらくすると何かを片腕に抱えて戻ってきたこの人。
再び正面に立たれたから呆然自失となって見上げる。
マヌケ面引っ堤げている私に先生は嫌そうな顔で片眉を上げ、ドサッとベッドに腰掛けるとその振動がこっちまで伝わってきた。
持っていたのはどうやらアルバムのようだ。
ページをパラパラと捲っていくのを私はただ眺めている事しかできない。
するとあるページで手を止め、見ろとい言う意味でアルバムを渡される。
強引に私の前へと差し出してきたそれにおずおずと目を落とした。
そこに映っていた、明るく満面の笑みを浮かべる可愛らしい女性はーー。