第7章 勘違い
フェイクと。
きっとこの人から告げられるのはそんな・・・。
「・・・・・・」
酷薄なものでしかないはずで・・・・・・。
「・・・・・・フェ、イ・・・・・・」
そう思って・・・構えていたんだけど・・・・・・。
フェイク。
今、フェイクって言ったのかこの人。
フェイクとは一般的に、偽物、イカサマ、紛らい物、インチキ、騙し行為等々。
それらを意味する単語であって。
「・・・・・・は?」
「もう一度言うか?フェイクだ。本気で見合いしに行く訳じゃねえ」
見合いはフェイク。
・・・・・・見合いはフェイク。
・・・・・・見合いは・・・フェイク?
涙とは一瞬で引くものらしい。
薄く濡れた目はそのままに、しかしハタと全ての動きを止めた私は瞬きさえも忘れていた。
意味が分からず、この顔は働こうともせず、固まる私を前にして、先生だけが呆れた溜息をついている。