第7章 勘違い
「なにも知りやしねえガキが勝手に一人で突っ走るな。心得は立派だがな、子供で背伸びしてまで大人に気なんて遣うもんじゃねえよ」
「・・・・・・あなたに何が分かるの」
「ああ分かんねえな。お前みたいに冷めたガキが考える事なんて分かりたくもねえ」
イライラと吐き捨てた先生を見上げる。
疲れたように小さく溜息をつかれ、情けなくもビクリと肩が動いた。
「見合いの日を過ぎたらお前にも説明はするつもりだったが、どうやらそんな悠長な事を言っている場合じゃなかったようだ」
「説明なんて・・・・・・」
「必要だろう。放っておいたせいで現にガキが一人で思い詰めて目まで真っ赤にさせてやがる」
鬱陶しそうに言われて瞼だけを僅かに伏せた。
けれど先生の手が私の顔を上向かせるから、これ以上その目から逃れる事はできない。
「メイリー」
「・・・・・・」
耳に馴染んだ静かな声。
私の元には先生の声さえ残らない。