第7章 勘違い
「・・・・・・お前・・・」
いくらかほんの少しだけ声に焦りを乗せた先生から顔を背けた。
上手くいくといいなんてとんだ皮肉だ。
言った自分が傷ついていたら話にならない。
なんでこんなに悔しいの。
どうしてこうなるの。
滲めったらしくて、なんて情けないんだろう。
私は泣けば許される幼い子供でもなければ、涙を武器にする器用なものでもない。
こんな無様な姿なんて見せるのは嫌で、腕で目の上を覆い顔を隠した。
できれば今すぐにでも逃げ出したいけど、この人は動かずにここにいる。
「メイリー・・・・・・」
「・・・・・・」
「どういう事だ・・・てめえはそんなクソくだらね意地だけで俺を拒否しようってのか」
苦々しくそう言い放たれ、投げつけられたあんまりな言葉に腕の下で眉根を寄せた。
するとこの腕さえも、外せと言わんばかりに容赦なくガッと強引に引き剥がされる。
「やめっ、・・・」
「・・・このクソガキ」
チッと舌打ちして、先生は私の腕を乱雑に放すとあれだけ頑なに退けようとしなかった身を起こした。
涙をこらえて微動だに出来ずにいる私をよそに、ベッドからさっさと下りて足を向けるのは部屋の片隅。
一人にされる。
そう思った。
ところが書棚から何かを手に取ったかと思うと、怒った顔つきをする先生はそれと共に戻ってきた。