第7章 勘違い
だけど今回、そんな先生が初めて縁談を受けた。
近いうちに相手方とも顔を合わせると言う。
それはこの人の選択だった。
これまで幾度となく持ちかけられる縁談を断ってきたんだ。
それをここに来て受けたという事は、つまりそういう事に他ならない。
「シたいなら、いいですよ別に。でも私たち別に・・・・・・そういうのじゃないですし」
「何言ってんだお前」
「あなたと違って私はガキですから。冗談で済む範囲は大人よりも狭いんです」
繋がりは昼休みの屋上だけ。
先生が次に誰かを選べば、自ずと私は必要なくなる。
「・・・する気がないなら退いて下さい。帰ります。見合い控えた人の部屋に泊まるとかはナイんで」
「おい、ふざけんな。言いたい事の意味が分からねえ。急に拳返しやがってなんだってんだよ。帰さねえからな」
「困ります」
「私だって困っている」
この口からは辛辣な笑いが零れた。
困っていると。
何にだ。
嫌なら断れば良かったんだ。
自分で引き受けておきながら、私にそんな事を言って何が楽しい。