第7章 勘違い
「分別・・・?」
「・・・・・・進んでるんでしょう・・・?・・・・・・見合いの話・・・」
「・・・・・・ああ?」
先生の表情は一層険しくなった。
昼間ははぐらかされて有耶無耶になってしまったから、見合いの真相を本人の口からは聞けていない。
だけど校内に流れる噂をかき集めてみれば思った以上に情報は入った。
先生にはすでに決まった未来がある。
そうと知ってまで、火遊びを踏み越えるような真似なんて私はしない。
「見合い・・・教頭が間に入ってるって聞きました」
「・・・・・・またそれか。その話はもういいだろう」
「大事な事です。あなたにとってはどうでもいい事じゃない。私だって・・・」
縁談を持ちかけたのはピクシス教頭らしい。
見合いの相手はマリア高等学園理事長の一人娘。
全国でも名だたる名門私立高校、その頂点のご令嬢だ。
昼間に先生と分かれたあの後、クラスの女子から聞き出した下世話な噂話は思ったよりも詳細まで広まっていた。
先生は今までにもこの手の話しを何度も持ちかけられてきたようで、しかしその全てを断ってきて、あれだけ女性に騒がれながら色事にまつわる話が全く挙がらない理由の一つはここにあった。