第7章 勘違い
「こればかりはどうにもならねえ。俺はお前が欲しい」
「そんなの・・・・・・」
「なんだよ。黙らねえで応えろ。これでも俺は十分すぎるくらい待ってやったつもりだ」
うそつき。
そんなの、応えろだなんて。
私が本気で頷いて、それで困るのは自分のくせに。
「メイリー」
「・・・・・・ダメですよ」
「何がだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・なあメイリー、俺は、」
「駄目です」
今が穏やかに流れて、今をほどほどに楽しめればそれでいい。
充分だ。
その先は要らないし欲しくない。
「なんで、急にそんなこと言うんですか・・・」
「急じゃねえ。言っておくが俺は、」
「黙ってする事だけしてればいいじゃないですか。あなたは大人なんですから・・・分別は付けないと」
この人の言葉を聞いているのが怖くて、遮って被せた言葉に先生は眉間を寄せた。
怪訝にひそめ、不可能だとその目が物語る。
意味が分からないと。
けれどそう言って笑ってやりたいのは私の方だ。
自分の引き際くらい、私はちゃんと分かってる。