第7章 勘違い
「・・・どういう意味ですか」
「分からねえ振りをするな。同じ羽色の鳥は集まるもんなんだよ。俺もお前もお互いロクなもんじゃねえだろ」
Birds of a feather flock together.
ああそうだ。
前にも言われた。
いつだったか先生から示された嬉しくない仲間意識だ。
小さな自由を求めて飛び出た屋上で、私はこの人に出会ってしまった。
「失礼ですよ。ふざけてるんですか」
「悪いが真剣だ」
「なにが・・・・・・」
「逃げんなよ」
大きくはないがはっきりと言われた。
静かな声は私を制して、目線を逸らすことも叶わない。
近い距離は膠着状態を保ち、それ以上縮まる事もない代わりに離れる事もない。
その先を聞くのが嫌で、聞いたらそれで終わりになる事が分かりきっていて、はらはらと蟠ったものに縛り付けられる私は強張っていく顔を隠せない。
噛み締めた奥歯は少し軋んだ。
「メイリー」
「・・・・・・、」
「好きだと言え」
ストン、と。
何かが。
その言葉を聞いた瞬間、ひやりとこの心臓が冷たさを感じた。
先生の目と視線がぶつかって、一気に引き戻される。
現実へと。
寸前までの戯れは煙となって空気に飲まれた。