第7章 勘違い
考えてみれば最初からだった。
あの時、不思議と違和感なく受け入れた親近感は今でも覚えている。
私たちはおそらくお互いどこかがおかしいのだろう。
はっきりと、明確には言い難いどこか通ずるものがあると、そう感じたのは入学間もないあの日、良く晴れた四月の青空の下だった。
自然と落ち合うようになったあの屋上で、私は先生と初めて出会った。
毎日が穏やか。
なんの変り映えもない日々が当たり前。
目に見える範囲の誰もが平和に過ごしていく。
それはきっと幸せな事だし、今の生活には満足している。
もちろん楽しいことだって沢山ある。
しかしそれでもどこか満ち足りず、何かがずっと欠けていく。
ただただ一日一日をぼんやり生きていた中で、私はようやく先生を見つけた。
禁煙の校内、一番空に近い場所で繰り返される喫煙行為。
空気にかき消えていく白い煙を二人で眺めて、他愛もない事を飽きもせずに話してきた。
確か夏休みが明けてから最初に屋上で顔を合わせた日には、盛大な打ち上げ花火も悪くはないけど線香花火くらいの静かな奴が結局なんだかんだで落ち着くんだよなと。
生きていくうえでは全くもってどうでもいい内容に肯定し合ってお互い頷いた記憶はまだ新しい。