第7章 勘違い
当然の事のように言ってのけ、伸ばしたその手が私の顔に触れてくる。
ゆっくりとこの目元を撫でていく指先。
触れた箇所を辿ってそっとキスを落とされ、不意打ちのしっとりとした動作にどうしていいか分からず咄嗟に目を逸らした。
こういうの、本当やめてほしい。
先生は慣れているのかもしれないけれど私はそうじゃない。
全部が全部、私にとってはこの人が初めてだ。
「・・・・・・クソ生意気って、自分で言ったくせに」
「言ったな。そこがいいんじゃねえか」
「・・・・・・あなたはだいぶ変わってますね」
「ああ。お前もだろ?」
「・・・・・・」
強気な眼と共に投げ返された問い。
本当に、さっきまでの情けないこの人はどこへ行ったのだが。
そんな事を聞かれても私には頷く事さえできないのに。
「なんとか言えよ」
「・・・・・・バカじゃないんですか」