第7章 勘違い
これまでだって先生に対して数々の罵詈雑言を言い立ててきた自覚はある。
そのどれもを見事にスルーしてきた割には、なんて事のない変な所で大打撃を受けていた。
この人にとってはどんな罵りよりも一言大っっっ嫌いと言う言葉を浴びせられる方が堪えるらしい。
どうやら私の発言をとことん根に持ったようで、ようやくのろのろと顔を上げて私を見下すとさっそく脅迫まがいの顔で睨みつけてくる。
「俺はいま傷心だ」
「そうでしたか。とてもそうは見えませんが」
「お前の主観はどうでもいい。俺を傷つけたお前が何とかしろ」
「意味が分からない」
「無理矢理にでも理解しやがれ。俺が可哀想だろう。自分より半分しか生きてねえガキに傷モノにされた」
「変な言い方やめてもらえますか」
絶対わざとだ。
どこの世にこんなに楽しく傷ついている人間がいると言うのか。
やっぱり許すんじゃなかった。
「どうせエロい事しか考えていないくせに。先生は結局そうですよね。慰めろだとかなんだとか理由付けて好き放題したいだけじゃないですか。魂胆丸見えなんですよ」
「はっ。見くびるな。俺がそんなありきたりなAV設定紛いの情事を好むと思うか」
「思います」
「躾るぞコラ」