第7章 勘違い
「自分のせいでしょ。バカな事ばっかり言うからいけないんですよ」
「・・・すまん」
「・・・・・・」
面白いくらい素直だ。
牙を抜かれた猛獣は仔ウサギのようにか弱くなった。
何をしてくるでもなくただただ私の体にヒシッとしがみ付き、暴君な性格はどこへやら、態度を一変させてまるで大人しくなっている。
小柄なくせに重量のある男が上から圧し掛かっている訳だから、下で潰されている私は当然重い。
だからそのまま再び重いと口にだしたのだが、先生はより一層腕の力を強くしただけで退こうとする気配はなかった。
「先生・・・・・・」
「意地でも放さねえぞ。足りてねえんだよメイリーが」
「聞き飽きましたよソレ」
「どうしてテメエはそうも可愛げがねえんだ」
「すみませんね。可愛くない私なんか抱いててもつまらないでしょうから退いて下さい」
「ヤダ」
「あなたいくつですか」
駄々を捏ねる大人に仕方ないなと溜息をつけば、甘えるみたいに肩口に擦りつかれて脱力気味にやる気も無くなる。