第7章 勘違い
「・・・重いんですけど」
不快が頂点に達すると恐怖心にも打ち勝つらしい。
だって今のは本当にない。
これ以上ないくらい温度の低い声を放つと、私の肩に顔を埋めたまま先生はくぐもった言葉を返してきた。
「悪かった。頼むから今日くらいは機嫌直せ。お前はここまで来て俺に待てを強制する気か」
「ホントそればっかだな、あなたの頭の中」
「仕方ねえだろ。何日お預け食らってると思う」
「覚えてません。退いて下さい」
ジトッと吐き捨てるように言えば、視界の下部で先生の頭が動いた。
顔だけを上げて、じーっと何かを乞うような眼差しを鬱々と向けてくる。
目の据わり加減がいかにもヤバい人だ。
うんざりしつつも見据えていると不貞腐れた声が返ってきた。
「・・・・・・嫌うなよ」
「・・・はぁ?」
潔癖の鬼教師が聞いて呆れる。
あからさまに顔を顰めて蔑みの眼差しを向けた。
「嫌いですよ。強姦が得意な人なんて大っっっ嫌いです」
ビキッと張り付く先生の顔。
軽くフリーズしている。
意外にもダメージがデカかったっぽい。