第7章 勘違い
「強姦プレイがしたかったなら初めから素直に言えばいいものを。そういう事なら全て俺に任せろ。割と得意だ」
「・・・・・・」
どうしよう。
普通にキモイ。
ビキッと音を立てて亀裂が入った瞬間だ。
漂うのは無言。
続くのも無言。
汚物を見る目で先生を視界に収めるのは私。
なんだか一気に冷めた。
キモチワルイなクソ野郎と、完全なる本心が口から出てこなかったのは労わりでも遠慮でもない。
かつてない程この人の存在を全否定したい私の口が、汚物に対して人間の言葉を紡ぐ事さえ拒否した。
「メイリー」
「・・・・・・」
「おい」
「・・・・・・」
「おい、メイリー」
「・・・・・・」
全力でシカトを決め込む。
これは怒ってもいい場面のはず。
「クソガキ。なんとか言え」
「・・・・・・」
「・・・・・・メイリー・・・?」
私は声を出す事もなければ指先一本動かす事もない。
呼ばれようが窺うように顔を覗き込まれようが完全無視だ。
すると私のこの蔑んだ眼差しにさすがの先生も空気を呼んだらしい。
無表情ながらも、ヤベって思っているような雰囲気を漂わせ始めた。