第7章 勘違い
「・・・あなたの事情なんか知りません」
「ノコノコ付いて来たのはてめえだろ」
「好きで来たわけじゃない。攫われて来たんです」
本日、バイト先の裏口を出た所。
当然のように車を付けていたのは先生で、有言実行なこの人によって拒否権を完全に奪われた私はそのまま車中に押し込められた。
昼間に自分で行くと言っていたからにはおそらく来るんだろうなと思ってはいたものの、相変わらずと言うのか全くもって常識がない。
目が合った瞬間に放たれた第一声だって完全に悪党のセリフだった。
見た目極道の男がこれまたドスの効いた声で、『大人しくついてこないと痛い目見るぞ』だ。
人気のない暗がりでそんな風に脅されては寿命も縮む。
「あれは間違いなく誘拐でした。このまま私のこと犯したら拉致監禁の挙げ句に強姦罪ですよ」
「ほう・・・。それはなんだ。俺に酷くしてほしいと言うフリか?」
「・・・・・・はい?」
振り、とは。
「そうか。大したシュミだな。お前にレイプ願望なんてものがあったとは知らなかった」
「・・・・・・は・・・」
この人とうとうどうかしちゃったのか。
レイプ願望?いや、ないし。
普通にないし。