第6章 見合い?
「・・・・・・せんせ・・・」
「・・・・・・」
やめての意味を込めて小さく呼んだ。
先生は動かない。
掴まれた手首は痛くはないけど酷く熱い。
きっと風が冷たいせいだ。
頬を撫でる秋口の風はひんやりとしていて、だからそのせいで、いつもは温度が低いはずの先生の手が変に熱く感じる。
困った。
本当に。
こんなはずじゃなかった。
手首を押さえつけていた先生の手が、私の顔をふわりと包んだ。
情けなく眉間を寄せたまま、ゆっくり先生を見上げる。
そこにあった優しげな目元を捉え、胸の奥の方が痛いくらいに軋んだ音を上げた。
「・・・・・・お前の罪はクソ重いな」
「え・・・」
言うなりちゅっと。
額に触れた、微かな感触。
次いで目元と頬。
ほんのり軽く、ただ触れるだけのキスを落として先生は上体を起こした。
拘束されていたもう片方の手首も自由だ。
地面に寝そべったままの私を上から涼しげな表情で見下ろし、先生の手はポスッと私の頭を撫でた。