第6章 見合い?
「放して下さい先生。私ちょっと今本気でキレそうです」
「最近の若い奴は急にキレるから良くねえ」
「急にキレた瞬間足が出るあなたに言われたくありません」
身を似て、しかも二度も体験させられた私が言うと、先生は興味もなさ気にフンと鼻を鳴らした。
今にもドアノブを回そうとする私の手にスッと自らの手を乗せて、かと思えば途端にグワンとブレた己の体。
「え、」
掴まれたこの手。
ドアの真ん前から引き剥がされ、そしてガクッと、見事な足払い。
「ッ・・・!」
声を一つも上げる間もない。
頭から、後方めがけて倒れ込む。
屋上の地面は残念ながら堅いコンクリートが敷き詰められている。
ああ、頭打つ。
背中への衝撃。
これから来るはずのそれらに身構える余裕も、そこまでに考え至る暇さえもない。
トサッ・・・・・・と。
「・・・・・・ぁ・・・」
後ろへと、仰向けに倒れ込み。
見開いたままだった目が正面の光景を映し出す。
青い空。
すぐ近くには、先生の顔。
私の腰を片腕に抱き止め、コンクリートに激突するスレスレのところで計ったようにキャッチされた。
半ば放心状態の中、先生の青っぽいグレーの目は私を捕えて離さなかった。
気づけばゆっくりと地面へと体を下ろされ、そしてなぜかその上へ・・・・・・。