第6章 見合い?
ここまでされて尚ドアノブを回せるほど私の肝は据わっていない。
足音もなく近寄ってきた挙げ句に人並み外れた脚力を見せつけられてまで逃げようなんて思わない。
この人に背中を向けている今、一歩でも動けば私の命はそこで終わる。
ドアを蹴り上げたままの先生の足を目線で確認しつつ、カラッカラに乾いた喉をごくりと鳴らした。
バクバクと鳴る心臓が私の気分を焦らせる。
「メイリー」
「・・・・・・はい」
怖い怖い怖い怖い。
「メイリー」
「・・・はい・・・・・・」
「俺はな」
「ハイ・・・・・・」
「良く聞け、メイリー」
「・・・・・・はい・・・」
「いいか」
「はい・・・・・・」
「メイリーよ」
「・・・・・・」
なんか・・・・・・。
ウザイな、怖いんだけど。