第1章 混じりあう熱
「ネーズさん!」
コンコンと軽くノックをして
ユウリはネズの控え室に入っていった。
お疲れ様です!と声をかける前に肝心のネズが居ない事に気づき「あれ?」と零す。
「んー。シャワー浴びてるのかな…」
マリィにジムを譲ったネズは本格的な音楽の世界に入っていった。
チャンピオンになった後も多忙ながらこうしてみんなとネズの歌を聞きに来るのが恒例になっていた。
何度も来ているのに後で合流してご飯に行くのもいつも通りなのに
はじめて控え室に入ったユウリはどきどきを隠せない
「キバナさんが今日は大丈夫だからーって言ってたけどなにが大丈夫なんだろう?」
いつも控え室には来るなと言われていて、
なにかあるのだろうかとまわりを見回すがそれといったものはなくて首を傾げた。
「メイクすごいなぁ…」
綺麗に整理されたメイク用品の種類の多さにびっくりしていると
「……………………………ユウリ?」
と少し驚きまじりにいつもより低い声で名を呼ばれた。