第1章 混じりあう熱
ざわめく会場
フロアいっぱいに広がるファン
みな思い思いにネズにエールを送りそれにこたえるように歌をおくる。
久しぶりのライブにネズもファンを昂りを抑えられず弾けた。
ステージから見えるファンの一人ひとりの表情ににやっと笑う。
「俺にアンコールはない、最後の曲だ。お前らたおれるなよ?」
ファンの黄色い悲鳴を横耳で聞きながらイヤモニをつけ直し曲開始の合図を視線で示す。
伴奏が始まると共に大きく口をひらいた。
「はぁはぁ…」
ライブを終え控え室に戻ってきたネズは高揚感を抑えられず煙草に火をつけ
「まず…」
と零した。
普段から吸っている煙草だがこの時だけは毎回不味く感じている。
滴る汗を邪魔に思いながら髪をかきあげ乱暴に灰皿に煙草を押し付けシャワールームに向かっていった。