第2章 ルージュのささやき
いきなりの言葉にネズらしくない。と手を止めてしまうが何もなかったように再開し
「私はずっとネズさんを見てきたから。そんなに簡単に離れませんよ
ラブソングは…聴けるとはおもってなかったけど」
はっきりと言いきったユウリにネズは心の底から笑った。
「はははっ。」
「でも、すごく嬉しかった。大好きですネズさん」
「本当は…」
その言葉から声が一気に低くなり話し始める。
「本当は、お前と一緒になる気なんてなかった。
俺自身がもうこれでいいだろうと思っていた。ジムリーダーを妹に譲ろうと決めた年にお前は現れてホップやマリィと共にすべて持っていってダンデさえ倒した。
いつの間にかお前は俺の光になっていたんです」
まぁそれを自覚させてくれたのがマリィなんですけど。と続けそっと顔をあげる。
「私だって…。
ネズさんが光だった。すごく眩しくて暖かい光。ダイマックスしないリーダーがいると聞いていて
ずっと小さい頃からダンデ兄のダイマックスばかり見てたから
貴方にすごく惹かれた。
好きって気持ちにはすごく戸惑ったけれど止められなくて」
伝えたい意思と拒絶されるかもしれないの不安が混じった震えた声。
前を見て話していたユウリが後ろを向いて視線が合う、ぐっとなにかを決意したような眼差しで
「私は、ネズさんを1人にしないですよ?どれだけ遠くてもどれだけ離れていてもずっと。」そう言い切った。
ネズはいきなりのことで目を見張り
あの頃のマリィの面影が脳内に浮かぶ。
“アニキは私のために十分に頑張った。好いとるなら好いとるって言うてよかよ!
ユウリ泣かしたら怒っけんね!!”
あんなに真剣に言われたことがなかったネズは今でもそれを鮮明に覚えていた
マリィにとってもユウリは大切で友人以上なのだろう。
人のこと言えませんがね…
強いな、本心からそう思う
幼きあの頃に出会っていれば俺ももう少しは素直になれただろうか。
いつもは考えないことが頭を過ぎっていく。