第2章 ルージュのささやき
左奥…
左奥…。
扉を開けると言われた通りまた扉があり心の中でお邪魔しますと静かにあけた。
キーボードにマイク、モニターいろいろなものが視界にはいりネズの優しく少し高めの歌声が耳にはいってきた。
“自分でつくったモノクロの世界
関係なしに入ってきたキミは
すぐ目の前で微笑んだ
誰もいらないのになぜ?
少しづつ色ずく景色を横目に気づかないふりをして
今日も嘘で笑っている”
マイクに向かい音程を確認しノートに赤文字でなにかを書き出していた。
すごい…。
ただその言葉しか出てこない。
これがアーティストなのか。
CMのネズよりも圧倒的だった。
大好きなひとの真剣な姿に息も忘れ魅了されていた
誰かがいることに音の振動で気付きそっとイヤモニを外しているほうへ視線を向けた。
「ユウリ。どうしてここに?」
不思議そうにネズは質問しユウリはその問いに声を押し出して答える
「マリィが休憩も必要だからって」
??と腕時計を見るともう10時を指していて二時間も経っていたのかと気づく。
「あぁ。だからお前なんですね」
くすくす笑いながら先ほどの言葉が妹に聞こえていたのかと少し後悔し
肩にかけていたイヤモニを完全に外してモニターの置かれているデスクに置きオフィスチェアに腰掛けた。