第85章 無色透明
「風の呼吸はお子ちゃまが多くて困るわ」
天晴先輩は勝利のウインク。
優鈴は私のそばまでよろよろと歩いてきたかと思うと、その場で膝から崩れ落ちた。
「な、なぜだ…!!」
……そこまで真剣になれるの、何かの才能だと思う。
「今のはパーのオーラだった。なのにグーを出された…なぜ…!」
パーのオーラって何。
「……反射神経で負けてると思う」
「え?」
「先輩がパーを出すと思ったからチョキを出そうとしたんでしょ?でも先輩は優鈴の指の開き具合で何出すかわかったから、一瞬で切り替えたんだよ。ほぼほぼ反射に近かったと思う。」
優鈴はギョッとしていた。開いた口が塞がらない、という感じ。
「あらぁ、霧雨ちゃんにはお見通し?」
「ちょっ…思考よりも速く動いたってこと!?」
天晴先輩はドヤ顔。
優鈴は唖然としていた。
「………も、もう一回…いいスか」
「いいわよ」
その後も何回かやっていたが優鈴は全敗。
「ちょ、やろ」
「うん」
私がパーで優鈴がグー。
私の勝ち。
「……え????????」
「……」
「…お前も…反射…?」
「……」
コクリと頷く。
「ジャン!ケン!ポン!!」
「…」
「ジャケポッ!!!!!」
「…」
「ポーーーーーーン!!!」
私の全勝。
「クソゥ…!!」
「なんで勝てると思ったの?」
優鈴はよしよしと先輩に慰められていた。
「…ゆっくりしても速くしても変わらないわよ。」
「指の開き具合っていうのが死んでもわからん!!」
「あんたは私たちの思考読んで何出すか決めてるんでしょ?それなら最初っから負けてんのよ。私らはあんたの手を見て勝ってるんだから。」
「チキショーーーーーーーーーー!!!!!」
…海にきたのになんでこんなにジャンケンしてるんだろう。あ、私が言ったからか…。
よくわかんないことになったけど、こういうの楽しいかもな…。