第84章 黎明
「こんなんになっても、まだ生きようとしてるの。私。」
みっともないよね、と自虐気味に笑ってみせた。
「…………」
優鈴は私の隣に立った。
「今も昔も綺麗だよ、相棒」
「…そう?」
「うん。まぁ、今のお前が1番好きかな。」
そしてそっと私の肩に寄りかかった。
「俺たち、泥臭いくらいがいいでしょ。生きていこうよ。みっともなくさ。」
「………」
「やりたいことがないなら、探そ。いつだってそうしてきたじゃん。頑張ってきたんだから、そろそろ休みな。」
その言葉が、なんだか嬉しくて。
「________がん、ばった」
「そうだよ」
「わたし、たくさん。がんばった。」
「…うん。」
私は空を見上げた。
「これからは自分のために何かやろう。どこまでも付き合うぜ。」
「____ありがとう」
「俺はお前の相棒だから当たり前さ!」
優鈴はにこりと笑った。
……ああ、そうだな。
心細い時はいつもそばにいてくれた。
優鈴に付き添ってもらって部屋に戻ると、実弥がいた。
「…!お前、どこにいたんだ。歩いて平気なのか?」
「……」
詰め寄ってくる彼に、私が何も言えずにいると優鈴が助け舟を出してくれた。
「な、連れて帰るって言ったろ。お前は過保護すぎるんだよ。」
「…そうは言ったってな。」
「まぁ、落ち着け。」
優鈴は真剣な顔で言った。
「の話、聞いてやってほしい。」
「……話?」
「……そう。」
実弥は首を傾げた。
「今までみんな、やろうとしてやってこなかったことだ。」
優鈴の真剣な表情に実弥は何も言い返さなかった。