第12章 雨晴らし
ううん、どうしたらいいんだろうな。
無理にでも終わらせないと永遠にこの話続きそうだし。
「ええと、わりとマジに私は大丈夫だし…そんな風に泣いたりしないでほしい、デス…。」
誤魔化したりはしないで素直に伝えるのが一番いいかな。
「そうだなあ、なんて言えばいいか…。私はさ、たくさん嫌なことあったよ?けど毎日頑張って生きてきたつもりだし、これからもそうするし、いつも通りにしてくれると私も安心できる…と、思うんだよね。」
どれだけ絶望しようと、悲しかろうと、寂しかろうと。
私なりに精一杯の今を生きてきたはずだ。その積み重ねが今だと言うなら。
巡り巡って、その日々が今になると言うならば。
「辛いことなんて何もないよ。だからいつもみたいに笑ってよ、カナエ。」
「〜〜っ!!」
「わっ」
勢いよくカナエが抱きついてきた。力いっぱい、ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。
「大好きだから、本当に大好きだから。いつでも呼んで。何でも遠慮なく相談してちょうだい。」
「…うん。」
私はぎゅっと抱きしめ返した。
「私も大好き。」
思えば今生だけでも随分と長い付き合いになった。
今となっては感謝してもしきれないたくさんの恩がある。私の大切な大親友。
「きっと大丈夫だよ。鬼はいない。命を代償にしてまで強くなりたいなんて、私思ってないから。」
カナエが納得してくれたかはわからない。
けれど、それからこの話に関しては何も言わなくなったし、カナエは泣く事もなかった。
しのぶは姉が納得すればそれでいいのか無言だった。阿国はキュッと頑なに口を閉ざしている。
…先ほど、つい言葉を漏らしてしまったことを反省しているようだった。