第12章 雨晴らし
「ま!と言うわけで私は色々と納得してスッキリすることができました!!!」
重苦しい雰囲気が嫌だったのでわざと変なテンションでそう言った。
「だから、そんな顔しなくて大丈夫だよ。」
「…。もう、あなたったら。」
カナエは怒ったようだった。
「……ちょっとは心配する身にもなってほしいわ…。」
「でも、カナエだって同じ立場って同じことをするでしょ?心配してほしくないって思うでしょ?」
すると彼女は黙ってしまった。
「……それに、しおらしくしてたって何も変わらないんだし。せめて私は私らしくいるよ。不愉快にさせたらごめん。」
「不愉快なんて、とんでもない。」
カナエは眉を下げた。
「あなたがいいならいいのかもしれない。けど、私たちの気持ちも決して忘れてほしくないの。無茶をしたりするのは絶対にやめてね。何かあったら必ず教えてね。」
「うん、約束する。」
「……本当に…本当に、どうしていつもあなたなんでしょう…!」
カナエが顔を両手で覆った。
すぐに嗚咽が聞こえだした。…ああ、これは困った……。
しかも、“あなた”って…そんな前世みたいな風に言うのカナエにしては珍しい。
「泣かないで、私は平気よ?」
「先生」
阿国がカナエの服の裾を引っ張った。
カナエが顔を上げる。
「阿国のせいなの、私が、私が全部悪いの。私がしっかりしてなかったから、は死んじゃったの。」
「…え?」
「…私が、師範を殺していれば……!!」
急に不穏な言葉が聞こえてカナエは驚いたのか泣き止んだ。
…まずいな、話を聞いていないと理解できないことだろうし……。
「と、ともかく、誰も何も悪くないし私は元気だし痣のことは心配ないけどみんなが心配してくれてることは絶対忘れないからーーっ!」
「…霧雨さん、無理矢理に話を終わらせようとしてませんか?」
……う、流石に無理があったか…!!