第82章 千年の子守歌
「八重…が、すみッ!!」
触手攻撃が厄介なだけであとは問題ない。でもなかなか無惨本体に近づけないな。
でも、そこそこ戦えてるのを思うと…。
「なんか君弱くなった!?」
「は?」
「怒らないでよ、会話にならない…でしょっ!!!」
再び触手を切り落とす。
くそが!切っても切ってもにょきにょき生えてきやがる、やっぱり首落とせってこと…?
「っていうかここどこーーーーーーーーー!!!!!」
私は屋敷の中を走った。
なぜ屋敷にいるかというと、なんかたどり着いたから。
さっきの女の人と会った藤の花が咲いていた場所はこの屋敷の庭だったらしい。
日本家屋…とはちょっと違う。けどなんじゃこりゃ!こんなバカみたいに広い屋敷見たことないんだけど!
ていうか外から中に入っちゃった時点であたしってば追い詰められちゃってる!!
「…こうなったら」
私は畳を蹴った。
そして息を潜める。
(……いったん隠れてもう一回外に行くしかないかな)
スパスパスパーン!と襖を開けまくって屋敷の奥へ。そして押し入れに入って息をおしころした。
……無惨の気配は近づいてこない。よしよし、見失ったか?
………これで一回外に出たいけど、どうもこの屋敷おかしい。
ちょっと離れたところにもう一つ気配がある。
まだ中に誰かいるってこと?それなら助けないといけないけど…無惨の目を盗んでそんなことできるだろうか。
最悪、見つかっちゃうかもしれないけど気にしてられない。
私は押し入れから飛び出し、足音を立てずに屋敷の中を走った。
気配は感じるけどなんか途切れ途切れ。こんなの初めてで正直戸惑ってる。
私は屋敷の屋根に廊下に飛び出て、気配がする方まで向かった。