第82章 千年の子守歌
この人は見た目だけでなく中身も私に似ているのか???
なんか急に私みたいなこと言い出したけど…。
「これは私の問題じゃ、私がなんとかする。そなた一人を置いていけるものか!」
「……」
何の力もないはずなのに。
刀も握ったことのないような人なのに。
お産直後でふらふらしているのに。
ばかみたい。
できないはずなのにやるって言う。
普段の私も実弥にはこう見えているのだろうか。
でも、すごく気持ちはわかる。
結局誰にも頼れないのわかってるんだよね。自分でどうにかしたいし。
でもその力がないのが、たまらなく悔しいよね。
「私は、ここで戦う。」
「私も…!」
「あなたは赤ちゃんを守るの。それは私にはできないわ。私は戦うことしかできない。」
「…」
「あなた、戦える?」
彼女は、私と同じ顔でうなだれた。
「逃げることが恥じゃないの。自分ができる精一杯のことをやるのよ。」
「自分ができる…」
「惨めだけど、そうするしかないの。」
彼女はすぐに決断をした。
「娘とミヤを安全な場所まで案内してくる。それまで頼んだぞ。」
「ふふ、了解」
なんで上から目線なんだよ、とか思いつつ笑って感情をごまかした。
そして二人が走り出したと同時に再び無惨が触手を伸ばしてきた。
「あら、待っててくれたの?」
「一人一人の方が殺しやすいだけだ。」
「はぁ、一人…」
にこりと笑う。
「私を殺したいのなら、鬼を1万体つれてきてください!!」
私の生涯、斬った鬼は数知れず。
「霞の呼吸、すべてあなたにぶつけましょう。」
「呼吸?何を言っているのだ、小娘が。」
私はダンッ、と思い切り踏み込んだ。
それと同時に走り出す。
さてさて、死んでまでこいつと戦うことになるなんて思ってもみなかったけど。
過去のリベンジってことで思い切りやりますか!