第12章 雨晴らし
話が終わったので胡蝶姉妹を呼び戻した。
二人とも、ニコニコと笑っている私たちを見て驚いていた。
「この人、本当に変わってますね。」
阿国はカナエに愚痴をこぼすように言っていた。
「誰に似たのかなあ」
「隔世遺伝だと思ってる。」
「いえ、バグだと思います。」
さらりとしのぶが毒を吐いた。
「けど、陽明くんも変わった子よねえ。だらしないところとか、本当ににそっくりで…」
「え?誰がだらしないって?????」
「阿国ちゃんが特例なのかもしれないわね、霞守の血筋なのにしっかり者っていうのが…。」
胡蝶姉妹私の扱いひどくない?????
「…それで、痣のことは聞いたのかしら。」
「ああ、うん聞いたよ。」
「なんでそんなに明るいんですか。」
しのぶが怒ったように言う。
「だって、痣なんて何百年も前の話だよ?それにもう鬼はいないんだしそんなに必死にならなくていいのよ。私は痣なんかに負けないから大丈夫。」
私はまた笑った。
「前世じゃ、命と引き換えにでも力が欲しかった。いつ死んでもいいってそう思って生きてた。でも今はちゃんと命が惜しいの。生きたいって心の底からね、そう思うんだよ。だから大丈夫。」
根拠がないと言われればそれまで。
しかし、本気でそう思っていた。
「……私も、前世では痣が発現しました。」
その時、阿国が口にした。
「私は25で死んだけど、25を超えても死なない人がいました。」
突然の告白にしのぶが言葉を失った。
「例外はあります。痣は絶対じゃない。私含めて例外の人がどうして生きていられたのかわかりません。わかりませんけど、紛れもない事実です。」
阿国は力強く言った。