第80章 大バカ野郎どもへ
チャイムがなった瞬間、俺は教室に飛び込んだ。
教室に入ったら不死川がいた。
驚いていた。
不死川だけでなく、その教室にいる生徒も全員。
あ、しもた。すっかり俺周りが見えなくなってた。
後ろで蛍にいが頭を抱えていた。
いきなり現れたスーツ姿の男を前に生徒たちは大混乱だった。
「……不死川先生、職員室の冨岡先生が呼んではりましたんで戻ってもらえますかぁ?」
「…は?」
「自分、事務の仕事あるんでぇ。急いでもろてぇ…。」
すると生徒たちから『事務の人なんだー』『初めて見たー』などの声が。ヨシ、ごまかせた!
「よし、六限の数学は家庭科に変更だ。」
「えっ鋼鐵塚先生…!」
蛍にいがそう言って、生徒に見せないように親指を立てた。
…カッコええ!!その努力、無駄にはせえへん!!
「行きますよ先生!冨岡先生の竹刀が飛んできますさかい!!」
「え?え?え???????」
戸惑う不死川を引っ張り、荷物をまとめさせて俺の車に引きずり込んだ。
「ちょ、アマモリ、仕事」
「理事長から許可もろとる!さあ法律の範囲内で飛ばすでぇ!!!」
「冨岡は??」
俺は車を出発させ、走らせながら助手席の不死川に説明をした。
「お前、携帯見たか?」
「あ?いや、今日は見る余裕なくて…」
「やっぱりな。俺今日何回かかけてん。俺のスマホにキリキリちゃんからのメッセージ入っとる。パスワードかけてへんから見ぃ。」
不死川は目を見開く。
「その様子やと、ほんまにお前ら会ってへんかったみたいやなぁ。」
「…喧嘩したんだ。………出て行くって言ってそれっきりだ。」
「ああそう。妊婦放り出して大した新婚生活やな、お前!」
俺が放り投げたスマホに目を落とし、不死川の顔が更に青ざめた。