第78章 昔からの憧れ
『言いたくないって、俺は信頼されてないって言われてるみたいに聞こえる』
そう言われてポカン、としたのを覚えている。
え?話聞いてた?私の話聞いててそれ???
『俺に言えないようなことはしてほしくない』
『だって怒るから…』
『怒るのはしてほしくないからだろ』
ここら辺で彼がイライラしだしたと思う。
『なんでそんなに全部ダメダメ言われないといけないの?』
『言わないとお前がわからないからだろ!お前が今回やったのはアイドルの応援とかそういうぬるいことじゃないんだぞ!』
『何で?兄に会いに行っただけじゃない。』
『その結果怪我したんだろうが!!なんで今更ポッと出の兄貴に執着してんだよ!!!』
お互いヒートアップして、私はここで完全にプッチン。
『実弥にはわからないよ』
唸るようにそう言うと、もうそっからぎゃいのぎゃいの大げんか。
「子供か」
アマモリくんに改めて話すとそう突っ込まれ、私はムッと頬を膨らませた。
「なんやその小学生みたいな喧嘩。不死川は自分の意見押し付けすぎやし、キリキリちゃんは言葉足らずや。」
「………わかってるけど。」
「不死川はキリキリちゃんをどうにかしようって必死なんやろうなぁ。ほんまにほっといたら死にそうや。」
「そんなに弱くないよっ!!」
「実際、前はみんなにほっとかれて死んだやん。」
前っていうのは前世のことだろうか。
放っておかれたっていうか、別に鬼殺隊なら死んで当然でしょうよ。
「…死ぬも生きるも自己責任だし」
アマモリくんはピタリと手を止めた。
「せやけど、不死川の前で死んだんやろ?あいつもしかしたらキリキリちゃんが怪我したりしたとき、想像以上のダメージあるんちゃうか。」
「……」
「キリキリちゃんが強いのは不死川も知ってるんやって。でもどんな強い人も死ぬってことを教えたんはキリキリちゃんなんやで。」
「でも、もう怒鳴ってばっかで私の話聞いてくれないの」
またポロポロと泣くと、お店の中なのでアマモリくんはギョッと驚いていた。