第77章 世界一の辛さ
童男は送って行くと言ったが、私は断った。
とにかく1人になって落ち着きたかった。
……問題は山積みのままだ。
今回のことをどうやって実弥に話そう。流石にこれ以上黙っていたら今の状況が悪化するだけだろうし。
…できればずっと黙っていたかったのに、なんでバレたんだ??あ、そうか。病院で春風さんが電話したからだ……。
……そうか。私が怪我したり事故に遭ったりすると実弥に連絡がいっちゃうのか。まあ当然だよね。
ていうかものすごい当たり前なことに今更気づいた…。
でも事前に言ったら言ったで実弥は私を許しただろうか??いいや、許さないな。絶対『そんなことするな』の一点張りだ!
……だからコソコソやってたんだけど、それは言い訳にはならない?どうやったら怒られずに済むというか…。
いや!怒られるようなことしてないし!!!
そうだ、そこは自信持っていいんじゃないだろうか!私は怒られる〜とかそんなビビったりする女じゃないのよ!!
と、意気込んでいると何かが頭に当たった。
「いたっ」
反射的にそう言ったが、別に痛くはない。…なんだこれ?それを拾うと、綺麗におられた紙飛行機だった。
「あーーーーーっ!」
聞き覚えのある声がして私は顔を上げた。
「阿国」
その名前を呼ぶと同時に、誰よりも速くこちらに走ってくる男の子が見えた。
「師範ッ!!!!!!!!!!!!」
「む、無一郎くん」
「会いたかったです!!とっても!!!」
大興奮の無一郎くんに思わず後ずさる。
その後ろから阿国、そして有一郎くんが駆け寄ってくる。
「こら!離れろ無一郎!!」
「師範…」
有一郎くんに引きずられてズルズルと後退していく無一郎くん。
…もはやこの流れ、恒例のコントみたいになったなぁ。
無一郎くんってこんなに感情をひけらかす子だったんだなって、前世の私は思わなかったな。な