第77章 世界一の辛さ
「お前はどれだけ俺の寿命を縮めれば気が済むんだ!!!!!!!!!!」
病院に駆け込んできた実弥に開口一番そう言われた。
待合室で春風さんと彼を待っていたら案の定怒鳴られた。ああ、他に人がいない時間でよかった!
「実弥好き」
「誤魔化されねえぞ」
まあ、止血したし。
怪我も浅いし全然大したことなかったのだけど…。
「また1人で解決したのかぁああァ」
「引率は春風さんです!」
「どうも〜」
「……」
実弥は頭を抱えて椅子にどかっと座り込んだ。
……あ、なんかごめん。
「春風さん格好良かった!ズバンって潜り込んで、そんな体勢低くて走れるのかってくらい!それで早くて、ズバビュンってくらいすごい勢いでパンチしたの!!!」
「まあまあ、君の奥さんはこの通り元気みたいですから。」
春風さんは落ち込む実弥の背中をバシバシ叩いて慰めていた。
「実弥くんは、この子と一緒にいる限り多分一生こんなことと付き合っていかないといけませんよ。」
その時、ふと春風さんがそんなことを言った。
「ね、さん」
「?????はい!」
よくわからないがとりあえず返事をしておいた。
「これからの人生、君のものですけどね。」
彼はすっと立ち上がり、待合室の扉に手をかけた。
「どうか後悔しませにんように。」
にこり、と笑う。
「人払いはしていますが10分で出てください。私は仕事がありますから。」
どこか含みのある笑みに私は首を傾げた。
……何を言っていたのか全然わからん。