第76章 思い出される過去のアレコレ
私______
私が覚えているのは、無愛想な兄と大人しい弟。
あの時は…前世では、私とあまり歳が変わらなかったのを覚えています。
本家と分家ですからね。大して関わりはありませんでしたが。
本家はだいぶ荒れていました。
それは何よりあの父親の存在が大きかったのでしょう。絵に描いたような傲慢な人でした。
私に対しても高圧的で、いい人だと思った時はありません。それでも子供にはたまに優しい顔をする人でした。
けれど、子供という不確定要素は彼にとって毒になったようで。
気づいた時には、産屋敷邸の庭でいとこであるさんが石の庭に裸で放り出されていました。
煉獄が何やら喚いていたのも、天晴が何か動いたのも覚えています。
______________ああ、あの兄だな。
那由多の顔が頭に浮かびました。
全ての原因はアイツだとわかりました。そういうやつなのです、彼は。
ですが声に出せませんでした。
どうやら周りはどうしてもこの子を『人殺しの獣』にしたいようでした。
だから、私もそう思い込むことにしたんです。
そうすることで彼女はない罪を被って、それをバネに前進していきました。
愚かな。
本当にクソみたいなストーリーです。
過去の悪行を糧に生きていくとか、私には信じられない。
しかもそれは嘘偽りの罪!!
ですが私には否定することはできませんでした。
私は________
私は、早く彼女が死なないだろうかとか、そんなことを考えるようになっていました。