第74章 な ん て ね
別に言わなくてもいいかなと思い始めたど、多分言わない方がクソ面倒だと思う。
「お前のことだ。何かあるんだろ。」
実弥も気づきました。まあ、見せるだけとは思わないよね。
【ある けど】
「けど?」
【怒らない?】
私が打ち込んだ文章に実弥は微妙な顔をした。
…保証はできませんと言っている。
「……ちょっと待ってろ」
そう言って実弥はぎゅっと目を閉じた。
え、なに?とか思っている間に、この上なく深いため息をそれはもう長く長く時間をかけて吐き出した。
「…よし、来い」
いったい何が来ると言うのだろうか。実弥の想像以上に腹のくくりっぷりに息を呑んだ。
【診断 して もらって とんでもないことが わかったんだけど】
「とんでもないこと?」
実弥がゴクッと唾を飲む。
【逆子だって】
彼は私からスマホを取り上げた。
そしてじいっと目を細めたかと思えば、今度はカッと目を見開いた。
「……ん?ん?????」
【ずーっと、ひっくり返ってて、よくあること って 聞いてたから なんも思わなかったけど なおらなかった みたい】
「…いったん待て。」
そう言われて文字を打つのをやめた。
「逆子ってあれか。頭が下じゃなくて足が下の…。」
私は頷いた。
そう。お腹の子は逆子。頭が下になって生まれてくるはずが、頭が現在上になっているとのこと。
【赤ちゃん 基本的に 逆子 途中で、ちゃんとした向きになおるんだって でも私の場合 うまくいかなかったみたい 体操とか なんとか やってた、でも】
「……」
【次も 変わってなかったら、なんか色々決まるって】
「………」
実弥はやはり私のスマホを凝視したり、チラチラ目を泳がせてみたり、なんか…おろおろしてる?多分怒ってないと思うので話を続けた。
「決まるって言うのは…」
【入院とか、えと、予定日とか】
「ヨテイビ」
実弥の目が点になる。
【帝王切開になるって】
そこらへんで実弥はなぜか立ち上がった。
「なんだよその壮大な話は!!!!!!!!!」
そして大きな声で叫ぶので耳がキーンてなった。
…うう、やっぱり怒った。
【ごめんなしあ】
「いや!!消すな消すな!!今のやつ消すな!!!!!」
文章を消して文字を打ち込む私に実弥がいう。