第74章 な ん て ね
でも…私が兄の存在知らなかったの知ってた思うし、これに関しては怒らないかな…。
と思ったけどめっちゃ怒ってた。
え、嘘。
どうしよう。
ソウコさんの手前だから怒鳴ったりしてないけど、確実にイライラしてる…。
「だからこの家に入れちゃったのよね〜。春風くんの言った通りになってて驚いちゃった。」
「……そ、そうなんです…びっくりしました。」
「そうねぇ。怖かったわね。詳しいことは明日、春風くんから話があると思うけど一応話しておくわ。びっくりしたらお腹の赤ちゃんにも悪いし。」
そして彼女は今日一日何があったのかを話し始めたのだった。
「実はね、那由多くんにはある事件の犯人じゃないかっていう疑惑があって警察が彼を調べていたんですって。那由多くんはそれに感づいたんでしょうね。それで買収とか言い出したのよ。」
「なんとなくわかりました。多分、今日みたいなシチュエーションを作りたかったんですよね。」
「ええ、そうね。」
「どういうことだ?」
実弥に聞かれたので私は答えた。
「不利な条件で買収をふっかければ、みんな抵抗するでしょ?そうしたらそこで働く人たちは忙しくなっていろんなことが疎かになる。
童男は那由多を止めようと警戒を怠ったところを狙われて、私は実弥が夜遅くまで帰ってこないところを狙われたってこと。
つまりさ、今回は買収なんてどうでもよくて、那由多は私と童男…あとついでにお母さんを殺したかっただけだったんだよ。」
私が結論を言うと実弥は青ざめていた。
「実弥だけじゃなくて、霞守神社とか私の知り合いの外堀全部埋めて、頼れる人もいなくなったところで私の家にきたって感じかな。で、実弥が帰ってくるとは思ってなかったのに帰ってきたから思考停止で固まっちゃったんだと思う。
…お父さんもお母さんも、思い通りにいかないとよくああなってたから血筋だなって思ったよ。」
実弥は驚いて言葉が出ないようだった。
それからはソウコさんが話してくれた。