第74章 な ん て ね
それから大変なことになった。
家の中にはたくさんの警察官が出入りすることになり、目が点に。それに加えてやってくる人たちが春風さんにペコペコしているもんだから、驚いてしまった。
「すみませんね。」
「……あの〜…春風さんって…け…。」
「警察官です。」
ビシッと敬礼する春風さんに実弥と2人で目が点に。
「在宅勤務多めのサラリーマンじゃなかったんですか!?」
「いやあ、身内に警察官がいると居心地悪いかなって思って…。知られない方がいいこともたくさんありますし。だましてたわけじゃないんですけど。」
「氷雨警部!今回の凶器と見られるナイフが!!」
「あ、は〜い。鑑識さんに持っていってもらってください。」
「警部!?」
「あ、はい。一応警部です。」
自分を指差してキャピっと笑う。……おいおいおいおいおいおいおい。衝撃的すぎるだろ。
「…それでぇ、そろそろ話してあげないと2人が可哀想じゃない?何があったのか私が説明するから、春風くんは仕事してらっしゃい。」
「ではお願いします!」
春風さんはせかせかと動き出した。
…え……ここ最近で一番のビッグニュースだわ。
「もう夜遅いですし、我々はこれで失礼します。明日に詳しい話をお伺いにあがります。」
「はい。」
「ご協力感謝します。おおい、みんな。帰るよ。」
春風さんの指示にみんな以上なほどキビキビと動く。にっこり笑っているだけなのに、見えない何かがあるみたい…。警察の皆さん、お疲れ様です…!!
警察の人たちは指紋とか全部調べて帰っていった。
そして那由多は連行され、母と童男は春風さんと一緒にどこかへ行ってしまって、最後にソウコさんが残った。
「可哀想に。怖かったでしょ〜?」
「あ、いや、別に…」
ソウコさんはよしよしと私と実弥の頭を撫でた。
「…もうわけわからねぇ。なんで霞守のお母さんがここにいるんですか?」
「えへへ〜。でもぉ、そんなに気をつかわないで?私たち一応家族なのよ?」
「…???」
実弥は首を傾げていた。
「あの…私、そのこと彼に話していないです。」
「え?じゃあ那由多くんのことももしかして話してないの?」
「はい…。童男とは彼も会っているので言ってるんですけど。」
全部今日言うつもりだったんだよ!!と思いつつ、私は冷や汗をかいた。