第71章 何したらいいの?
話がサクサク進んでいくのだが、私はだんだん頭がぼうっとしてきた。
「わかった。神社と学園の関係者から氷雨家へ買収を依頼させよう。DRIZZLEが何か言い出したら大株主の氷雨さんのお父さんにおさえてもらって、その間に氷雨家が買収を終わらせる。後日、買収はなかったことにして全部チャラ。これしかない。」
「これしかないけど?」
「………バレたらやばい」
話はまとまっても、最後はこれで煮詰まってしまう。
「ああ、もう!あと一歩なのにこれ以上のものが思いつかない!!自分の頭の悪さに腹が立ってくるな!?それに、DRIZZLEもこれくらいのことは予想しているだろうし…!!」
「落ち着きなさい。桜の頭が悪いなら、この世の全員バカになるわ。」
「でもさぁ!!」
「“これしかない”となるのはハカナの悪いところですよ。他にも切り口はあります。」
「え、あるの?」
私がぼうっとその話を聞いていると、春風さんはにこりと笑った。
「DRIZZLEに対抗するのはやめましょう。大人しく神社と学園を見捨てるのです。」
「「はああああああああ!?」」
「えー…」
2人だけでなく、寝転ぶ私も悲鳴をあげてしまった。
「…あ、待って、アリかもしれない。」
「え!?天晴まで!?」
「よくよく考えれば…簡単なことね?」
そう言って笑う天晴先輩は、すごく悪い顔をしていた。
「いいか、ハカナ。結論を言えば買収なんてクソだと後悔させればいいだけだよ。」
「…はぁ?」
「神社と学園を乗っ取ったところでどうにもならなかったと思わせるだけだ。今のうちから神社と学園内で強固な姿勢を作っておけば…ね。大丈夫そうでしょう?しかも、あの二大組織がそのことに気づかないこともないだろうしね。」
「…!そっか、買収を防ぐ必要はないのか!」
「そうだよ。各位への動向へは目を見張らせておくほうが良いですよ。今や買収を反対するのは取り巻きの人たちだけで、当事者たちは別の方向へ動いています。」
にっこおーと満面の笑みなのに、どこか怖い。
…ていうか、難しい話ばかりでもう頭が痛いよ…。