第71章 何したらいいの?
「じゃあ、買収でやり返すの無理じゃないですか?」
私がハッとして言うと桜くんが疲れ切ったようにため息をついた。
「ようやく気づいてくれたみたいで何よりだよ。」
「え〜そんなのできますよう。2秒でやってあげます、うえへへへ、うえへへへ。」
「春風〜あんたもう本当に寝なさい。」
えへへえへえへ、と不気味な笑いを繰り返す春風さん。天晴先輩が再び引きづろうとすると…。
「父が、DRIZZLEの株のほとんどを所有しているのでできると思います」
「「「え」」」
「ぐう」
春風さんはそこで力尽きたのか、スピスピ寝始めた。
「起きろーー!!こんなところで寝るなっ!起きろー!!」
「絶対今じゃない!!絶対寝る時今じゃない!!!」
「起きてー起きてー!!!」
みんなで体を揺すったりほっぺを叩いたりして、ようやく春風さんを意識を取り戻した。
「はっ私は何を」
どうやら酔いも覚めたらしい。
しかし、私たちはゼエハアと荒い息を繰り返していた。
「あれ?みんなどうしたんだい?」
「ほっぺ硬すぎ……」
「叩いた手が痛い」
「衰えてないわね…春風」
なぜか私たちがダメージを受けていた。
「ウッ、ハッスルしすぎてくらくらしてきた……」
「まあ!霧雨ちゃんは横になってちょうだい。ごめんなさいね、私たちも騒ぎすぎたわ。」
私はそこでダウン。畳の上にクッションを枕にして寝転がった。
「…それで…株主がなんです…?」
「だから、父がDRIZZLEの大株主なんです。」
春風さんが団扇であおいでくれて、だんだん火照りが落ち着いてきた。
「父が同意してくれるかわかりませんが、色々と動くことはできると思います。」
「株主総会で社長である霧雨さんの兄貴を解任に追い込むこともできるかも…!これは結構なアドバンテージだ。」
「そんなにうまくいくかしら?」
「ああ、それなら単純に買収でやり直すのは可能です。私もだてに金持ちの家に生まれていませんから。」
「そんなこと言って…氷雨家の財産いったいいくらだよ…。」
その後、春風さんはとぼけ顔でサラッと自分が知る限りの財産を教えてくれた。
私たちは三人とも絶句。
「私が知る限りなので多分もっとあるんじゃないですかね」
さらにはこんなことを言い出すのでもう何も言えなかった。