第71章 何したらいいの?
実弥曰く、昨日私が外に出ようとしたことが彼の中でまだ引きずっていたらしい。
ベランダを確認する暇もなく、私がいなくなったことにパニックになっていた…とのこと。
「……実弥ってたまにバカだよねぇ。」
「誰のせいだ。」
「わ、た、し」
ウインクをお見舞いしてやった。
実弥はムッとしていたが、すぐに落ち着いた。
「…悪いが、これから帰りが遅くなりそうだ。」
「そうなの?あ、買収のこと?」
「ああ…その対応でな。」
「えと…大丈夫そうなの?」
「まあ、関係者も反対派と賛成派で割れてるからなァ…」
実弥は詳しいことは言わなかった。
部外者である私に言えることもないんだろうな。学校って情報のあつかい厳しいって聞くし。
「は首を突っ込むなよ。」
「買収なんてものに興味ありませーん。」
私はモグモグと朝ごはんを食べ進めた。
(……“買収”には、ね。)
実弥が出かけて行った後、私はすぐにパソコンを起動させた。
そして童男に電話をかける。
『…もしもし、霧雨童男です』
「です」
『またかい、…悪いけど、進展はないよ。』
「買収なんてどうでもいいんです。」
私ははっきりと口にした。
「那由多さんも本当は買収なんてどうでもいいんでしょう?」
『……』
「あなたはもう気づいていますよね。彼がいったい何を企てているのか。」
『…知らない』
「25年前」
私が口にすると、彼は黙り込んだ。
「実家の近くに、心霊スポットとして有名なトンネルがありますよね。」
『……』
「25年前、あそこで火災が起きています。ご存知ですよね。」
私も中学生の時に行ったことがある。
…神隠しみたいなのに巻き込まれて三日間行方不明になったんだけど。
ってまあそんなことはどうでもよくて!!