第71章 何したらいいの?
目を覚ました時、実弥が隣ですうすう寝息を立てて寝ていた。
私は起き上がり、リビングに向かった。
時計を見ると…深夜の2時。何とも不気味な時間だ。
私は真っ暗なリビングでパソコンを起動し、いつもの絵を描くソフトではなく検索ツールを起動させた。
……何か。
何か、情報があればいいけれど。
『霧雨那由多』『霧雨童男』で検索してみる…も、ヒットしない。2人とも本名を明かして活動はしていないようだ。
続いてDRIZZLEのホームページを開いた。
…そこには社長…“drizzle”という名前で那由多の写真が掲載されていた。…会社でも裏方の童男は写真も名前もないか。
スーツを着て、刺青も見えなくなっている。ピアスも外しているのか如何にもビジネスマンという格好。
……社長の言葉と言うところには当たり障りのない文章しかない。ホームページや会社のSNSまで調べ尽くした。過去のネットニュースも探ったが、今回の買収の件のような大きな記事はない。
たくさん那由多の写真もあるが、特におかしいところは……
(あれ?)
私は一つの違和感を覚えた。
(……服がぜんぶ長袖だ)
明らかに夏に撮られた写真も、彼は露出の低い服装をしていた。
周りの人が全員半袖でも、那由多だけ半袖。…フォーマルな服装を好むにしても、何かしらおかしい。
………。
そういえば。
そうだ。
…那由多と童男は両親からひどい仕打ちを受けていたはず。私と同じ境遇だったはずだ。
いつもならあやふやな夢の内容も、私は今日に限ってはっきりと覚えていた。
私は心当たりのある言葉で検索をかけた。すると…すぐに思った通りの結果が出てきた。
「……」
これだ。
思わずパソコンの前で笑ってしまった。
……ふむ。
確信はないけれど、何となくつかめてきた。
………これで止められたらいいんだけど。
「よし」
「何がだ?」
その時、背後から声が聞こえると同時にリビングの明かりがつけられた。