第70章 本当に最強?
ひとまず優鈴の話を大人しく聞くことにした。
『キメツ学園と霞守神社が買収されるとあの胡散臭いDRIZZLEのクソ社長に権力全部持っていかれるんだ。』
「うんうん」
『おまっ…買収の要項見たか!?会社のホームページに公開されたやつ!!』
「え、見てないけど」
『みろ!!ページのリンク送ったから!!』
そう言われて電話をしつつそのリンクに飛んだ。
「ええ〜と、読むから5分待って」
『待てん。要点を言うからメモれ。』
「そんな強引な」
優鈴は私の意見など聞かないまま話を続けたので慌てて紙とペンを持って電話に耳をすました。
『まず。神社ね。ここには霞守神社を観光地として再興させるってある。そのためにイベントごとも増やすし、建物の増築、そんなことが書いてある。』
「楽しそうじゃん。何がダメなの?」
『霞守神社の鎮魂については何も記されていないんだ。』
「…ああ。」
『神社には外部にもらせない伝統がある。でも買収されたらそれら全てが終わってしまうんだ。霞守神社は家族経営だし、敷地内にみんな住んでる。運営が変わればあの人たちも神社から追い出されるんだぞ。』
……それを聞けば大問題かも。
「でも鎮魂を続けさせてくれって頼めばいいんじゃ…」
『言えるわけねえだろ!!』
「ウッ…」
『お前、向こう側に鬼に殺された人達の鎮魂をさせろって言えんのかよ!!あっちはムカつくほど正当手段で買収を勧めにきてんだ、霞守神社は今朝から対応でてんてこまいだし、俺まで駆り出されてるんだぞ!?』
「わ、わかったから大声出さないでよ…」
『わかんないの!?今すごくまずいってこと!!』
大声がキーンと響くのでスマホを机の上に置いた。これだけの大声ならこの距離で十分だ。
『キメツ学園の買収では産屋敷家の権力全部取り上げようとしてる!!でもどちらにとっても好条件だから、賛同する奴が多くてなかなか話が進まないんだ!!』
「…そんなこと私に言われても、何にもできないってば」
『っお前はやる気がないだけだろ!もうみんな動いてるのに!!』
……なんで今私は罵倒されているんだ?は?まじで意味わかんないんだけど。