第70章 本当に最強?
家に戻ってからもあの話がぐるぐる回っていたが、正直そんなことを考える余裕はなかった。
実弥と一緒に家のことをやって、ドタドタしている間に時間は過ぎていった。
夜は静かに終わっていった。
『違う』
『殺したのは』
__________?
______那由多?
__まだ幼いけど、確かに那由多だ
『違うよ』
__その体が真っ赤に染まっていった
_____足元には、動かない大人の体があった
『俺が殺したんだから』
「ッ!!!!!」
飛び起きた。
その表紙に目覚まし時計を弾き飛ばしてしまい、ガシャンと音を立てた。
音に反応して実弥も起き上がる。
「おい、何暴れて…」
「違う!!!」
「は?」
私は冷静じゃなかった。
ただ、真っ赤に染まった那由多が目の前にいた。
『俺だよ』
そう言ってニヤリと笑って言った。
「あんたじゃない…!!」
「ど、どうしたんだよ?」
「イヤ!!いやいやいやいやいや!!違う!!違う違う違う!!!!!あんたじゃない!!!!!」
「!!」
「いやああああああああああああああーーーーー!!!!!!」
半狂乱に叫ぶ私を実弥がおさえつける。私は暴れてそれを払いのけ、枕を那由多に向かって投げた。
当然、那由多はそこにいないから枕は壁に当たっただけ。
「!!どうしちまったんだよ!?」
「………っ」
実弥が私の肩をつかんで揺らす。
そこで冷静に戻って、ハッとして我に返る。
「……」
「…おーい」
実弥がひらひらと私の目の前で手を振る。
「……ごめん、夢を見ていたみたい」
「どんな夢だよ…」
私は力が抜けて、再び寝転んだ。
「二度寝していい夢みることにする」
「…まあ、まだ時間早いしな。」
朝からとんでもない失態をしてしまった。
反省しつつ、今度こそいい夢を見られるようにと目を閉じた。
でも、この時は夢なんて見なかった。