第70章 本当に最強?
…?
誰か何か言ってる?
……この声、どこかで
……………
『お前のせいだ』
…?
『お前のせいなんだよ』
……誰?
『どうして』
……これは…私の声?
『どうしてですか、お兄様』
視界にうつったのは、刃物を手に私を見下ろす__________
「やめて」
自分の声で目が覚めた。
気づけばいつもの天井が見えた。
…夢?あれ、どんな夢見てたんだっけ。……うう。頭痛い。
しかもなんか寒い。体が氷みたい。冷たい。
私はブルブル震えて布団にくるまった。
「ん〜……」
隣で声が聞こえてはっとする。
……実弥だ。その存在に心の底からほっとした。
「何をぶつぶつ言ってんだァ…?」
「………うぅ」
「あ…?どうしたァ……」
寝起きのおっとりした話し方が可愛い…って、そんなこと言ってる場合じゃなくて。
「さむ……寒いの…」
「は?…ってうおッ、なんだこりゃ!!」
実弥もブルっと体を震わせる。ああ、実弥も寒いのか。よかったぁ私だけじゃなくて。
「……?昨日、暖房つけて寝たか?」
「んー……寝る前に消したような…でもなんかエアコン動いてるね…」
「……まさか」
実弥は慌ただしく立ち上がり、枕元のリモコンを手に取った。
「…ッ!!冷房になってる…!!」
「…わあ……じゃあもうダメだ…」
「諦めんな」
実弥は速攻で冷房から暖房に切り替えた。そして寝室からリビングに移動し、私の体を片っぱしからいろんなものでくるんだ。
そして私の前にヒーターを置き、湯たんぽを持たせてくれた。
「………実弥もこっち来たほうが…」
「俺はいいから。」
「……ごめんねぇ…」
私はブルブル震えながらしばらく暖を取った。
…真冬にクーラーついてたってどんな拷問だよ……ただでさえ冬がダメなのに…。