第67章 兄たちと妹
「そーかそーか、婚活かァ」
その話を聞いて実弥は何故か嬉しそうにしていた。そしてソファーのそばに腰を下ろすと、いつもの調子で話し始めた。
「無難なとこだと相手の年収じゃないスか」
「あー……別にお金は求めないので…仕事が忙しい人は嫌ですねぇ。ずっとお家にいてほしいなぁ。」
「じゃあ家で仕事ができるか、時間に融通のきく仕事してる人ですね。あとは…家庭的とか、そういうことだと思いますけど。」
「家のこと全部私がやりたいので何もできない人ぐらいで丁度いいです…。なんでも完璧にできる人だと、どうも私のペースが崩れれるというか…。」
「それじゃあ、特にそこは関係ないか…。」
私はふむふむとその話を聞いていた。
「なんだか私みたいですね!」
「ん?」
「だって私、家事ろくにできないし在宅ワーカーだし、漫画とか本とか読むし!!」
なんだか嬉しくなってそう言ったのだが、実弥のこめかみに血管が浮かんだのが見えた。
え!?怒ってる!?なんで!?
「ああ〜……確かにあなたみたいな人…が、いいのかもしれませんね?」
「でへへヘヘヘッ、私ってばモテモテだぜ。」
「………」
実弥がジトォッと春風さんを睨んでいた。なんで?
「じゃあ次に顔の好みとかないですか?ほら、女優さんとか。」
「……お恥ずかしながら、テレビは見んのです…。」
春風さんは項垂れた。
「なので…私と話しても楽しくないという人が多くて……」
「ああ…」
「……やっぱり、私はもう気持ち悪いおじさん…ということなのでしょうか。」
しゅん、と落ち込む姿がしおらしくてぽんぽんと頭を撫でた。
「でも、これだけまとまったんですからこの条件を元に頑張ってみましょうよ!きっと良い人見つかりますって!!」
「…春風さん、なんでもできますからね。」
「………そうだといいんですけど。」
うーん、相当参ってるな。
…はてさて、どうなることやら。