第67章 兄たちと妹
春風さんは具体的なイメージがあるのか、嬉々として語ってくれた。
「歳は近い方がいいですねぇ。プラスマイナス両方とも3でしょうか。話も通じそうですし。趣味はなんでも構いません。アイドルオタクだろうが猟奇殺人犯だろうが構いません。」
「すみません構った方がいいと思います。」
「そうですか?じゃあ強いていうなら小説の話ができる人がいいですね。私最近文豪にハマっていまして、あっ、特に泉鏡花なんて…」
「あ、はいわかりました次どうぞ。」
ペラペラ語る癖があるので話を途中で止めたりしつつ、話をどんどん先へ進めていった。
「えーと…本当に特には…肺呼吸できて二足歩行していたらそれで…」
「えと…そうだなぁ。私もあんまりこだわりないし…」
「誰がこだわりないって?」
そんな声が聞こえてハッとした。そこにはお風呂上がりの実弥が立っていた。
「か…ッ髪の毛がない!?」
「そうなんですよ!実弥ってお風呂上がりになるとぺったんこになるんですよ!!いつもワックスベタベタにつけてるのに!!!」
「ハゲてるみたいに聞こえるんでやめてもらっていいですか。」
「そろそろ気にした方がいいよ?」
「は、マジかよ」
実弥は慌てて頭頂部を気にし始めた。
まあ嘘だけど。実弥の家系はモヒカンと丸坊主の血筋なだけでハゲではないでしょ、うん。
そうこう話しつつも実弥は元の話題に戻った。
「それで、誰のこだわりがないって?」
「私」
「と私」
春風さんと私は自分を指差した。
「…こだわれよ」
「えっなんで私怒られてるの?ちょ、やめてやめてわしゃわしゃしないでえええ。」
実弥が髪の毛をボサボサにしてきたので必死に抵抗する。うう、ひどい。せっかくお風呂上がりでサラサラだったのに。
「じゃあ、実弥くんは女性に何を求めるんですか?」
「……いや、その前にこれ何の話ですか?」
春風さんは少し照れながらも、再び婚活のことについて話し始めた。