第67章 兄たちと妹
「婚活…」
「最近は食事パーティーとか、バスツアーとか…イベントに参加していました。」
全くイメージがなかったので驚いた。
春風さん…私と一個しか歳変わらないんだから、そんなに焦る必要もないと思うけどなぁ。
でも本人は独り身で寂しいんだから早くパートナーが欲しいのか。
「でも…その、なんかうまくいかないんですよねぇ。……私ってもしかして気持ち悪いんでしょうか…。」
「え!?顔綺麗だしご飯作れるし仕事もできるし顔綺麗だし人のお世話めっちゃできるしお金持ちだし顔綺麗だしお掃除得意だし顔綺麗だし顔綺麗だしこんな優良物件な男の人他にいませんよ!?」
「…半分ほど顔のことだった気が……」
春風さんは困ったように微笑んだ。
「まあ出会う人の中でもいいなあって思う人はいるんですけど、……やっぱり…心の中見えちゃうじゃないですか、私たち。」
「…ああ」
そうか、なるほど。
「出会い系アプリでも文字越しになんか色々見えちゃって。」
「……ああ〜」
春風さんは加えて未来予知までできちゃうもんなぁ。
「もうパパ活でもして女性の時間を買うかどうかと悩んでいるんですけど」
「いや危ないな?!ダメですよそんなことしちゃ!!いや……あ、独り身だからいいのか。」
「いいんです。私、無駄にお金溢れかえってるんで!!」
…いやいやいや、でも!!
「そんなことしても、相手の人は春風さんじゃなくてお金しか見てないですよ。」
「……なんかもうそれでもいいです…」
「重症ですね…」
「……どなたか良い人いらっしゃいませんか、あなたのお友達で…」
「そ、そんなこと言われても…大体みんな彼氏持ちだしなぁ…」
私はうーん、と頭を悩ませた。
「あ」
「ん?」
……待って、いたわ。
………アリスちゃん…
いやいやいやなし。やっぱなし。
…さ…流石に紹介できないよ…ね。
「え、えーとえーと、あっそうだ!!じゃ、じゃあ整理しましょうよ!春風さんはどんな人が好きなんですか!?無闇にお相手を探しても空回りしちゃうだけですし、女の人のタイプを固めてみましょう!!」
「なるほど!」
春風さんは嬉しそうに手を叩いた。
私は早速スケッチブックと鉛筆を引っ張り出し、彼の好みを聞き出していった。